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けれど急にホラー映画を見るというのは、唐突すぎる。 「別にいいですけど、急にどうしたんですか」 「仲のいい得意先の人がな、めちゃくちゃ面白いから是非見てくれって言うんだよ」 それで観に行かないといけないわけか。営業さんも大変だなぁ。 「それで、係長が怖いの苦手だから誰かと一緒に見たかったって事ですか?」 「……まあ、分かりやすく言うとそうなるな」 意外な一面に、少し笑ってしまう。ホラー映画とか真顔で見てそうなのに。 「何笑ってんだ。それ絶対に馬鹿にした笑いだろ」 「違いますよ、可愛いとこあるなーと思って微笑んでたんです」 「嘘つけ」 「ほんとですよ」 なんともくだらない会話が続く。本来話さなきゃいけない本題を忘れてしまいそうだった。 話そうかなと思うけれど、今はやめておく。 くだらない話を係長としているのが、楽しくて心地よかった。 「それにしても、映画見るなら他の人誘えばいいじゃないですか。いつもビルの受付で話してる子とか」
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