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係長は苦笑いをする。 「よく見てるな」 見られてるとは思わなかったらしい。 「目立ちますから。あの人たち誘えばいいじゃないですか」 「いや、でもな。俺の事を好意的な目で見てくれてるのに、ホラー映画でビビってる姿なんて見せたくないだろ」 つまり、そんなダサい姿を見られたら、格好がつかないということか。   「プライベートの係長、意外とダメダメですもんね」 「うるさい」 「私だったら、もうビンタも見られてるし、別にいっか。って感じですか?」 信号待ちになって、車が止まる。今時の車はエンジン音が少なく、静かに止まる。 「まあ、それは確かにある」 「いいですよ、付き合ってあげます。どうせ暇ですし」 係長のハンドルを握る姿は、なんだか絵になる。 悔しいけれど、やっぱりかっこいい。 「けどな、誰でもよかったわけじゃないぞ」 「へっ?」 多分、かなり間抜けな顔で係長の顔を見たはず。 「受付で話してる女の子よりも、小嶋の方が一緒にいて楽しい」
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