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「そんなのあいつの勝手な思い込みだ。てゆうか、もうその話はやめろ。思い出したくない」 普通にいじっていたけれど、私も二股のことをいじられたら、かなり嫌だ。 あまりいじらない方がいいかもしれない。 「すみません、ちょっといじりすぎました、反省します」 「ほんとだよ、ったく。まあ、割と元気そうでよかったけどな」 そう言ったのと同時に、車が停まる。いつのまにか目的地に到着していた。 ショッピングモールに併設している、映画館だ。 この前雅樹と来たところとは、また別のところ。 ゴールデンウィーク初日ということもあって、車の量はかなりのものだった。 「……元気になりました。係長のおかげです」 エンジンを切って、外に出ようとする係長に言う。 「別に何もしてないぞ」 「係長と話してると、気が楽になりました。さすがにモテるだけはありますね」 自然と微笑む係長の笑顔が、眩しかった。 「惚れてもいいぞ」 このまま係長といると、本当に惚れてしまいそうで怖かった。
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