完璧な人の弱点

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若くして係長になる理由はやっぱりあって、仕事が本当に細かい。

そんなの誰も気にしないって所まで、きっちりやる。

だから頼まれる仕事も、ものすごく細かい。そして頼み方がものすごく丁寧。

そんな事しなくていいんじゃない？と思うこともちょっとだけあるけれど、嫌な気分にはならない。

さぞモテるだろうなぁと思う。

社内でも人気だし、違うフロアの別会社の人からも人気がある。

ビルの入り口で、話しかけられているのを何度か見たことがある。

人生何周目になれば、あんな完璧な人になれるんだろう。

私とはそもそもの持って生まれたものが違う。

ボーッと仕事をしていると、気がつけば定時を過ぎて、17時45分になっていた。

横に座る遥香は、難しそうにパソコンの画面を睨んでいた。

「……なにしてるの？」

「ねえ、これって5か8どっちだと思う？」

PDFで保存された書類が画面に映っている。

字が潰れて、どっちとも言い難い感じにはなっている。

「微妙だね…週明け送り先に聞いてみたら？」

こんなのこっちで考えていても分からない。聞くのが一番手っ取り早い。