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「なら、楽しそうにしといてください」
「……はい」
声のトーンは楽しそうとは言い難いけれど、まあいいか。
目的の映画は、思いの外人気みたいで、席が埋まり始めていた。
13時30分の上映チケットを取る。
「昼ごはんまだか?」
「まだです。ちょっとお腹空きましたね」
「そうだな、何か食べるか」
一旦エスカレーターで降りて、下に向かう。
「何食べたいとかあるか?」
しばらく、んーと唸って考える。
「和食の気分ですかね」
雅樹には少し遠慮している部分があって、任せてしまっていたけれど、係長だからちょっとくらいわがまま言ってもいいか、という気分になった。
「よし、和食にしよう」
そう言って、お店を探す。
お昼時ということもあり、お店が混みはじめていた。
「おっ、牛タンあるぞ」
係長の声のトーンが少しあがる。
「牛タン美味しそうですね、ここにしましょ」
係長も食べたそうだし、私も牛タン好きだし。
「よし、牛タン食おう。ちょうど空いてそうだし。
店内は混みはじめてはいるものの、まだ空席がありそうだった。
店員さんに案内されて、席に座る。
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