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「普段無表情だけど、たまにみせる笑顔はいいと思うぞ」 「……また、そういう事をさらっと言う。ずるいですよ、それ」 「思ってる事を言っただけだからな、俺は」 それもまたずるい。これだけ褒められると、調子に乗ってしまいそうになる。 暫くしてご飯が運ばれてきて、食べ始める。 牛タンって久しぶりに食べたけれど、かなり美味しい。 「……美味いっ」 一口食べて、無邪気にテンション高く言う係長。 やっぱり子どもっぽい。 「牛タンって、久しぶりに食べたけど美味しいですね」 「うん、美味い。俺のひとついるか?」 「何か違うんですか?」 「上だぞ、上。ちょっと高級だ」 なぜか偉そうな係長。 「じゃあ、ひと切れいただきます」 そう言って、ひとつ食べる。 見た目は似ているけれど、ちょっと高級なだけあって、確かに美味しかった。 「美味しいです。上なだけはありますね」 だろ?と自慢気に話す係長。 「私のも一応食べてください」 上に比べると、どうしても見劣りするけれど、係長は満足そうに牛タンを食べていた。
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