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これが普通なんだとすると、これまで付き合ってきた人たちが、行き当たりばったりすぎだったのかもしれない。 「3つしか違わないのに、凄い大人に感じます」 「急にどうした、褒めてもなんも出ないぞ」 3つ上なだけなのに、もう係長。 顔も良くて、仕事もできて、気もきいて優しい。 ちょっと女心をわかってなくて、ダメなところはあるけれど、そんなの補って余りあるくらいの魅力が、係長にはある。 考え出すと、ますます私には遠い存在のような気がした。 こんな地味で普通な女なんて、釣り合わなさすぎる。 「意外と褒めるところが多いなーと思いまして」 「意外とは余計だ。もう惚れたのか」 こういう時に、真剣な顔で見つめる係長は、タチが悪い。 真剣な係長の顔は、やっぱり整っていてカッコいい。 綺麗な目と視線が合って、思わず逸らした。 「……惚れたって言ったらどうします?」 真剣な表情で言ってみると、予想してない答えだったのか、係長は少し戸惑いを見せた。 狼狽える係長が、少し可愛い。 「冗談です。行きましょ、映画始まっちゃいます」
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