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「パンとご飯、どっちがいい?」
シャワーを浴びた私にお母さんのような台詞。
もう秋も半ばだというのにTシャツとハーフパンツ姿の陽向がキッチンに立ち振り返って笑う。
「パンがいい」
と、愛想もなくつぶやいてTVのリモコンを持った私なのに。
「了解」
なんて笑うんだよ、そういう子だ、陽向は。
子、なんて言っても二つしか違わないけれど陽向はどこかズレている。
育ちがいいっていうのは、こういう子のことを言うのだ。
おっとりとして優しくてそれでいて気遣いができる。
きっとご両親にいっぱい愛されて育ったのだろう。
そんな子だからこそ私みたいな女、放っておけなかったんじゃないかな。
自分とは違う種類の私を。
「アキさん、っていつも寂しそう」
そんな失礼な言葉を悪びれることもなく陽だまりのような笑顔で言うんだもの。
笑うしかないでしょ。
この子私のことが好きなんだな、なんて思ったら手を出しちゃってた。
可哀そうに、ダメな女に捕まっちゃったね。
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