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プロローグ~雪の山小屋にて
「あなたはまだ若いから助けてあげましょう。このことは、決して誰にも言ってはなりませんよ……」
白い着物を着たぞっとするぐらいに綺麗な若い女性の姿をした雪女、ゆきは、長の命を受け、初老の男性、茂吉に白く冷たい息を吹きかせて凍らせてしまいました。それを見てうろたえている若者に、先の言葉を告げたのです。若者のそばには亡骸が転がっていました。
その様子を一瞥して、ゆきは若者の顔を改めて見ると、とても実直で働き者な感じの男だと感じました。彼女は彼の顔を覚えると、何も言わずに茂吉のたましいを奪い取り、雪女の里へと急ぎました。
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