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「私は染川真紀の妹です、と言えばわかりますか?」
「あ」
入学式の日に染川の名前と横顔を見た時の、既視感の原因に思い至った。
染川真紀。色摩の恋人であり、俺の好きだった人。
俺の反応をじっくり見ていた染川が、ありがとうございますと言った。
「これで謎が解けました。先生は黒崎修ですね?」
先程の探るような声色とは違い、確信に満ちた言い方だった。
「何のこと?」
「とぼけないでください。『俺』の『れ』を発音する時のはじき音。綺麗な鼻濁音。私が聞き間違えるはずがありません」
俺が口をつぐんでいると、染川は右手をスカートのポケットに入れた。
「去年、姉からもらったんです」
そう言って染川が取り出したのは、プラスチックケースに入った白いディスクだった。
「Colorsのデータが入ったCD‐ROMです」
俺は声にならない音を漏らした。
「これは、色摩さんが大学時代に作ったものだと姉が言っていました。私が初めてプレイした同人ゲームであり、乙女ゲームです。シナリオが面白く、キャラクターも魅力的で、相当やりこみました。
攻略キャラは赤井大、黄瀬蓮、青山賢の3人。そして、隠しキャラの黒崎修です。
黒崎は、赤井、黄瀬、青山の好意パラメータを全て同じ値にした時に、初めて攻略できるようになるキャラです。
私は、黒崎修とのトゥルーエンドを何度も見ました。そのくらいこのゲームに、そして黒崎にはまったんです」
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