職員室

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 若い、か。  確かに俺は、職員室(ここ)では一番若い。でも俺が高校生の時は、先生が若いなんて考えたことすらなかった。  母が「秀介の担任の先生、若い! 肌がピチピチしてる」と騒いでいたのを、首を傾げながら眺めていたものだ。  ハタチ過ぎてたらみんな大人に見えた。  俺だって、高校生からしたら立派な大人だ。高校時代の俺が想像していた二十二歳とは大分かけ離れているけれど。  あの頃は、年齢を重ねれば自然と大人になるものだと思っていた。そうでないことはもう知っている。  立派な大人、立派な社会人、立派な先生。  気付けば俺は、ため息をついていた。 「慣れないことをしてお疲れでしょう?」  田中先生が俺を見ている。 「ああ、それもですが、これからちゃんとやっていけるのか不安になってしまって……」 「何言ってるんですか、白石先生」  田中先生が微笑んだ。 「最初からできる人なんていません。徐々に高校教師にんです。色んな経験を積みながら、ね」
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