二皿目「落ち着く味」

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二皿目「落ち着く味」

「どうしよう… ふうちゃんと喧嘩しちゃった…」 小学校2年生の亜実は友達と意見の食い違いで口喧嘩をしてしまい、あみちゃんなんて知らない!と言われ1人で下校していた。 ふと、路地裏で料理屋さんをやっているおじさんを見つけた。買い物帰りらしく、鼻歌を歌いながら呑気に歩いている。 おじさんに喧嘩をしたことがバレないように、そっと通り過ぎようとした時 「ふーんふふーん…おっ!亜実ちゃんじゃないか。いつも一緒にいるお友達はどうしたんだい?さては喧嘩でもしたな〜?」 「べ、別に喧嘩なんかしてないよ。なんか、おじさん楽しそうだね。」 「今からいいものを作るんだ。良かったら亜実ちゃんもどうだい?」 「えっ、いいの?あみも食べたい!」 おじさんには、見事にばれて咄嗟に嘘をついちゃった…そして、いいものってなんだろうと思いながら、おじさんについて行きお店に入る。 なんだかここはいつも、なぜか落ち着く。お母さんも、やっぱりこのお店は落ち着くわね〜といつも言っている。少し待っていると 「亜実ちゃんは、バナナといちごどっちがいいかい?」 「うーん…いちご!」 「じゃあ、おじさんはバナナにしよう。」 いちごを使ういいものってなんだろう?おじさんはバナナにするって言ってたし…もしかして と考えているとさぁ、出来たよと言われ目の前に置かれたのは、ホットケーキだった。いちごとホイップクリームが乗ってケーキみたいでとても美味しそう。おじさんのはチョコレートソースとバナナが乗っている。さぁ食べようと言われ、一口食べると口の中にクリームの甘みといちごの酸味が広がる。生地がとてもふわふわで美味しい。半分ほど食べたところでおじさんに質問をされた。 「なんでホットケーキだと思う?」 「わかんない。美味しいから?」 「美味しいのもあってるけど、喧嘩をして辛い思いをしてないかなと思ってね。 ほっとするケーキでホットケーキだ!」 「やっぱり、おじさんはすごいね。あみね、ふうちゃんと喧嘩しちゃったから仲直りしたかったの。おじさんのおかげで安心したから、明日ふうちゃんとちゃんと仲直りする!」 「そうだな。頑張れ亜実ちゃん!」 「うん!」 最後までぺろっと食べ終わり、ちょっと軽くなった心でおじさんのお店から出た。 -翌日 「おじさん!ただいま〜!」 「おっ!おかえり!ちゃんと仲直りできたじゃないか、良かったなぁ。」 「ふうちゃんも、ホットケーキ食べたいだって〜!」 「よ〜し、皆で作るぞぉ!」 「やった〜!!」 無事に仲直りをした2人の楽しそうな声が親父の店で響いていた。
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