⑬ 僕にも思い出を頂戴

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「何故あの別荘にピアノを置いていないんだ?」 ピアノが有れば毎日この男に演奏させるのに。 そして偶にでも良いから連弾もしてみたい。 今すぐ別荘に帰り身代金を要求しろ。 それで海外逃亡してピアノを買おう。 この男には、艶やかな光沢を放つ漆黒のグランドピアノが似合う。 あぁ、でも。 この容姿に似た柔らかく深い焦げ茶色も良い。 きっと――…白も似合うだろう。 勿論そんな言葉を口にする事はないが一言「聴きたい」と乞うた。
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