眠っている間に

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眠っている間に

【前編】 ここ三ヶ月くらいとんでもない夢を見る。 親友の工藤要とSEXしている夢だ。 それもほぼ毎日。 その狂いそうなほどの快感も触られる感覚も匂いも何もかもが現実味を帯びていてこれは現実だと思うのに目を開けると嘘のように消えていく。 現実味を帯びすぎていて目が覚めている時でも夢で要に触られた感覚が残っていて、女の子大好きだったはずなのに自慰するときの妄想は要に責め立てられることになってしまった。 それにイキそうになると何かが物足りなくて夢と同じように試しに後ろの穴に指を入れると初めての行為のはずなのにそこはなんなく受け入れた。 「どうした?」 覗き込んでくる要の顔が近くて夢でした要とのキスが思い出されて顔が赤くなってしまう。 それを誤魔化すように顔を背けると要が後ろから抱きしめるようにして体重をかけてくる。 「重いって!!」 「翔太、最近、俺に冷たくないか?」 その近い距離感も小さい頃からずっとこうなのでもう今更何も思わないはずなのにあの夢のせいで要を妙に意識してしまう。 一度意識し出すと今まで通りにはいかなくて何となく要を避けるようになったがそんな翔太には構わず今まで以上に纏わりついてくるので赤くなった顔に気づかれないようにすると冷たく接しているようになってしまう。 「俺なんかした?」 要は何もしていないから困ったような悲しそうな顔で見られるとバツが悪い。 「いつも通りだろ?」 「そうか?何かあれば言えよ」 頭をぽんっと撫でられる。 その優しさが申し訳なくなる。 お前とSEXする夢を見るせいで意識してどう接すればいいかわからないなんて言えるはずもない。 見ないようにする努力はした。 溜まってるのかと可愛い女の子と沢山SEXしたし、寝る前にもう出ないってくらい頑張って自分で抜いたり、とりあえず思いつくものは全部やったのに殆ど毎日見るのだからもうどうしようも出来ない。 何でも話せて、一番に俺のことを考えてくれて優しくて一緒にいてすごく楽だし楽しい。 そんな要をこんな夢なんかで失いたくない。 インターネットで調べたんだ。 親友とSEXする夢を見るってそしたら恋愛的に好きなのかもしれないって出てきて余計に要を意識することになった。 要とバラバラの授業の時に一緒に授業を受けている高人にその夢をどうにかして要への接し方を教えて欲しくてつい聞いてしまった。 「なぁ。友達とさ、SEXする夢見るってどういうことだと思う?」 「え?友達とSEXする夢見たの?誰と?」 「いや友達が言ってたんだけどさ、」 ありきたりな誤魔化しに高人は気づいているのかいないのかクスっと笑ったあとうーんと考える。 「付き合ってそういうことしたいんじゃないの?夢って自分の願望の現れって言うじゃん?」 「付き合うぅ!?」 思わず大きな声を出してしまって教授に怒られる。 「で?誰なの?友達って!」 横で何かを言っている高人の言葉はもう耳に入ってこない。 好き?夢を見るってことは俺は要が好きなのか? だから意識しちゃうってこと? 俺も要も男なのに? 別にゲイを否定する訳でもキモいとか思う訳でもないが自分がそうなのだとは思った事がなかった。 要だって女の子と何人も付き合ってるしいつも周りにはレベルの高いモデル並みの子が要の腕に巻きついているからゲイって訳じゃないだろう。 そしたらこの気持ちを要に知られたら俺たちってどうなっちゃうんだろう。 キモいって言われてもう一緒にいられない? そんなの耐えられない。 要がいない毎日なんて想像もつかない。 絶対にバレないようにしないとダメだ。 俺はあんな夢を見ちゃうくらい要が好きなんだ。 それは絶対知られちゃいけない。 だって要とずっと一緒にいたい。
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