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お父さんのフィルムカメラ
机の上に柔らかい音を立てて置かれたのは古っぽいフィルムカメラだった。
「どうしたのこれ?」
「美映も、高校生になったからどうかなと思って物置から出してきたんだ」
お父さんは今でも趣味で写真を撮ってることを知ってる。昔の夢がカメラマンだったことも知ってる。それを私にきっと受け継いで欲しいことも。
でも、まさか昔のフィルムカメラを渡されるとは思わなかった。
「まぁ、なんだ、無理にとは言わないからとりあえず貰っておけ」
そう言いながらもお父さんの目は期待に満ちている。とりあえず頷いて、とりあえずだけど、貰っておくことにした。使い方なんてわからないけど。
「でも、フィルムなんて使い方わからないんだけど」
「写真部が、あるはずだぞ。お前の学校」
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