1話 うちの売り子

3/4
前へ
/15ページ
次へ
....正反対な2人だった。 白と黒。 華やかさと気高さ。 「紹介しましょう あなたから見て左が 左がカナリアのトップ、氷雨(ヒサメ) 右が白鳥のトップ、月下(ゲッカ)です。」 「ようこそおいでくださいました」 ニコニコとゲッカが微笑みながら言った。 「今宵、会えたのは何かの縁... 会えて嬉しゅうございます」 キリッとした表情を崩さず淡々とヒサメは言った。 「カナリア..??白鳥...??」 「ああ...そうか...そこからか...」 ブツブツ呟きながらアルジは煙草の火を押し消した。 「カナリアは芸を売る専用、 白鳥は身体を売る専用です。 まぁ...あなた、 見た限りゲイじゃなさそうなんで、 カナリアの方がいいかもしれないですね...」 いきなり現れた美しい2人に見とれながら、 どちらを選ぶべきか短い思考回路で考える。 「ははは 大丈夫ですよ.... どっちでも、 必ずあなたを肯定してくれますから」 怪しくアルジの目が光る。 「っ..... じゃあ....ヒサメさんを....」 「わかりました ありがとうございます ヒサメ、案内しろ」 「はい、わかりました」 ヒサメを指定するとテキパキと準備が進められた。 「それでは、ごゆっくり、お客様」 にこりと笑い、 アルジは座敷にあがるよう促した。 「お...お邪魔します...」 ビクビクしながら、ヒサメの後ろをついて行く。 後ろだからわかったが、 ヒサメは1部だけゲッカと同じくらい 髪を長く伸ばして結い上げていた。 どうしてそんな髪型にするのか、 聞いてみたかったがなんだか怖くて聞けなかった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加