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(困ったな…) 僕は、隣に置いたバスケットに視線を落とす。 カラフルな花が生けられたバスケットだ。 ここにたどり着くまでも、なんとも恥ずかしかった。 考え過ぎ…自意識過剰と言われそうだけど、僕みたいな男に、こういう可愛らしいものは似合わない。 しかも、僕には、これをもらってくれる相手もいない。 福引なんて引かなきゃ良かった。 商店街で買い物をして、福引券をもらった。 僕は、昔からくじ運はそう良い方じゃない。 きっと、末賞のポケットティッシュだろうと思っていたら、それがなぜだか3等賞のフラワーアレンジメントが当たってしまい… 家まではまだ割とかかる。 今日は天気が良かったから、日頃の運動不足解消に…と思って、家からちょっと離れた商店街まで徒歩でやって来たから。 その道すがら、このバスケットを持ち歩かないといけないと思ったら、小さな溜め息が漏れた。 このベンチの上に置いて帰ろうか… そう思ったりするものの、なぜだか罪悪感のようなものを感じてしまう。 そう…花に罪はないのだ。 せっかくのこの綺麗な花が、このままこの公園に放置され、誰にも持って帰られないまま、枯れてしまったら… それはなんだか申し訳ないような気がする。 これが僕の良くないところだ。 なんでも、考え過ぎてしまう癖… 二度目の溜め息は最初よりも深いものになっていた。
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