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事情 2
私は伊右衛門の子どもを身ごもり出産したが、産後の肥立ちが悪く、病気がちになった。伊右衛門は、赤子が私に似ていると言って忌み嫌い、いつの間にかどこかにやってしまった。
私はやり場のない怒りと悲しみに打ちひしがれ生きる気力を失った。伊右衛門は、そんなジメジメした私をいっそう嫌い、毎晩、私が寝静まるまで帰って来なくなった。
伊右衛門は、その頃、伊東喜兵衛という職場の上司と仲良くしていた。喜兵衛には、お花という妾がいた。お花は若く美しい娘だった。喜兵衛に紹介されたお花に一目惚れした伊右衛門は、たちまちお花と恋仲になった。
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