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俺がオカンと喋るのは、この時間だけ。
オカンが昼の仕事から帰ってきて、夜の仕事に行くあいだのほんの数分間だけだった。
土日祝も、オカンは休みなく働いていた。
高校生になってから、俺は学校が終わったらすぐ家に帰るようになった。
少しでもオカンを助けたいと、俺は家事全般をやることにした。
それに関して、オカンの反対はなかった。
オカンは俺になるべく家にいてほしいようだった。
もう反抗期ではない俺はふと思った。
これじゃあ俺はオカンと話をするためにこの時間を目指して帰ってきているようなもんだ。
「キッショ!」
小さく吐き捨て、俺は夕飯の準備に取り掛かった。
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