僕とバイクとユーレイの君

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 男湯の外に出ると、先に風呂から上がっていたのか、山羽が椅子に座って寛いでいた。僕は一緒に出てきた男性に気付かれないように、さりげなく山羽のそばへ行くと、小声で、 「山羽。もう一度、曽爾高原に行くことになったから」 と耳打ちした。 「もう一度?どうして?」  小首を傾げた山羽に、首筋に痣のある男性の話をする。 「風呂場で、おかめさんが言っていたような、首筋に痣のある人を見つけたんだ。試しに、おかめさんに会わせてみようと思って……。あの人なんだけど」  山羽は、僕の視線を辿り、瓶入りのコーヒー牛乳を買っている男性に目を向けると、「あら、ほんとに痣があるわ」と目を丸くした。 「おかめさんの赤ちゃんの生まれ変わりとかじゃないかな。山羽、分かる?」  霊の山羽なら何か分かるかもしれないと思って問いかけると、山羽は眉間にしわを寄せて「うーん」と唸った。 「どうかしら……。ちょっと私には判断が付きかねるわ」  「そっか……」  男性はコーヒー牛乳を飲み終えると、僕のそばへ戻って来た。 「さあ、行くか。そういえば名乗っていなかったな。俺は川瀬治(かわせおさむ)っていうんだ」 「僕は藤谷昂って言います」  お互いに、遅ればせながらの自己紹介をする。 「藤谷君か。よろしくな」  川瀬さんは、にかっと笑うと、僕の肩を気さくに叩いた。 *
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