僕とバイクとユーレイの君

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 2年前、中古バイク販売業者から『マジェスティ』を購入して、山羽に出会ってから、僕の身に不思議なことが起こるようになった。  今まで、オカルトとは無縁だった僕が、霊だとか妖怪だとかが、見えるようになってしまったのだ。  初めて猫又から話しかけられた時は腰を抜かすほどびっくりしたが、今はもう慣れて、多少のことでは驚かなくなった。たとえ、ツーリング旅行の先で泊まったホテルの部屋に地縛霊がいようとも、バイクで走っていたら逢魔が時に火の車に追いかけられようとも……いや、さすがに火の車の時は、煽り運転されまくりで、肝が冷えたけど。 「山羽、もう行くよ?」  僕はナビの設定を終えると、猫又をモフっている山羽に声をかけた。 「はーい。じゃあ、またね。猫又ちゃん」 「またねー。山羽ちゃん」  山羽は猫又を地面に下ろし、手を振ると、僕の元へと戻って来た。ひらりと身軽に後部シートに座る。  ヘルメットとグローブを身につけ、シートに跨り、エンジンをかけた。僕の体にドルンと振動が伝わり、気持ちが高揚する。  山羽のワンピースの裾が足に触れた。彼女はバイクに乗る時もワンピース姿だ。裾がまくれあがって生足が見えているのに、一向に気にする様子はない。前に「恥ずかしくないの?」と聞いたら、僕以外の人間には姿が見えていないから別にいいのだと言っていた。 「さあ、行こうか」  僕は山羽に声をかけると、ゆっくりとバイクを発進させた。 *
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