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山間の道を再び30分ほど走ると、左手に、そそり立つ山々が見えて来る。屏風岩、鎧岳、兜岳だ。屏風岩は鋸の刃のように鋭い岸壁があり、ギザギザとした姿が屏風に見える。鎧岳は三角に尖った雄々しい山だ。兜岳は女岳とも言われていて、鎧岳よりも緩やかな柔らかい三角の形をしている。
ここまで来ると、曽爾高原はもうすぐだ。
道中、他のバイクを何台も見かけた。皆、ツーリングに来ているのだろう。
(この感じだと、曽爾高原も人が多いかもしれないな)
明らかに僕と同じ行き先だと思える自動車も、多く見受けられる。
予想は当たって、曽爾高原へ向かう途中にある『曽爾高原ファームガーデン』の駐車場は自動車でいっぱいだった。オフシーズンにはあまり人が来ていないというのに、さすが、ススキの季節だけある。外出自粛の雰囲気も、すっかり和らいだというところだろうか。
『曽爾高原ファームガーデン』はレストランやお土産コーナーなどのある休憩スポットだ。敷地の奥には『お亀の湯』という温泉施設もある。
(帰りに寄って行こうかな。あそこの温泉、結構気持ちいいんだよな)
内心でそんなことを考えているうち、目的地に到着。駐車場には、まあまあの台数のバイクが停まっていた。
シート下からバックパックを取り出し、かわりにヘルメットをしまうと、
『マジェスティ』に鍵をかけ、僕の準備が整うのを待っていた山羽に声をかけた。
「行くよ」
「うん。行きましょ」
山羽はにっこりと笑うと、スキップをするような足取りで、僕を追い越していった。
(道、分かるのかな)
山羽と一緒に曽爾高原に来たのは初めてだ。人の流れがあったので、山羽はすぐに高原への入り口が分かったようだ。草餅屋の屋台の横を通り過ぎ、坂を上っていく。
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