黄昏

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気がつくと、橙色の濃い色に飲まれていた。手の中の端末で時を渡ったかのように、いつの間にか過ぎている。今日もまた怠惰に過ごしてしまったなどと、ぼんやり考える。 「あ~。」 首を横に倒せば、パキパキと音が鳴った。長い時間、同じ体勢をとっていたこともあり、身体中が痛い。 「久々に見たなあ、この時間の空。」 昔はよく、のんびりと空やら景色やらを眺めて、虫やら手長エビやらの生き物をとって過ごしていた。日々をたんたんと、なにかを考えることなくこなし続けて、ぼんやりする時間も、余裕も何もなくなっている。橙色から暗い、深い藍色に変わっていく空を眺めていれば、つうと雫が頬を伝った。
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