『なぜ、こうなった……!』

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二人してアップルパイを堪能し、彼女は後片付けのためにキッチンに行っていたが戻ってきてから言ってきた。 「さっきの話。 神様の話ね。 私、そのことについて……アスカに聞いてみたらどうかなって思うの」 「ああ! うん、いいのではないか。 やはり同じく名家の令嬢に聞いてみるのが、我々が出来る現状での最善策かと思う」 彼女が口にしたアスカという少女もまた『コランダム四大名家』フォーゲイ地方の令嬢だ。 四大名家はお互いに仲が良く、その子供たちもまた然りであった。 ルナと同い歳のアスカというその令嬢にも、何度かルナの紹介で会ったことがある。 「じゃ、早速行こうか。 じゃん! アスカへのお土産~マサに出すまでの試作品のアップルパイ~」 彼女は『試作品』などと言っているが、味も形もなんの問題もないだろう。 学校に持ってきていた先程の可愛らしいバスケットに既に収めてきたようだ。 彼女は名家の令嬢というだけあって、一般人が使うことも出来ないような魔法を使うことが可能である。 彼女は【空間】についての魔法能力が群を抜いている。 通常遠距離の移動は、ある程度魔法が発達しているコランダム世界では魔法陣を使用することがある。 魔法陣から魔法陣までの移動を可能とする魔法にて、異空間で空間を繋ぐようにして移動するのだ。 しかし彼女は空間自体を捉えることが出来るとかで、彼女と共にいれば空間転移は思うままに出来る。 彼女が見知った場所でなければ行使出来ない、という絶対条件はあるそうだが。 「しかし、もう既に四時半であるからして……遠出していいのか? しかも雨だし」 「雨は……おそらくはフォーゲイのほうでは降ってないんじゃない? それに遅くなったとしても、そこはほら。 マサ同伴なら誰も文句言わないでしょ、魔法騎士さん」 「……、まだ、見習いの立場なのだがな、学生であるし……」
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