神である由縁

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コランダム神は、食欲のおいら、性欲のランダ、睡眠欲のアダムという別個の存在となり、それぞれに楽しむことを覚えた。 そして、命の有り様についても考えるようになった。 一番最初に……かつて見捨ててしまった者たちが造りし深界『アイストレンジ』について思案した。 そこはあまりにも時の流れが早すぎる世界であるからして、神とはいえおいらたちの体に負荷が掛かってしまう。 肉体の実体化を放棄した睡眠欲のアダムが、一手に引き受けてくれることになった。 ランダとおいらは裏層世界にその身を置き、コランダム世界の益々の発展に励んできた。 しばらくはそうやって各々穏やかに過ごしていたものの―――いつしか感じ取る。 あれ、おいらの神力ってこんなものだっけ、と。 コランダム神の時は難なく出来たことに対して、あまりにも神力の消耗を感じる。 しかもそれが回復するまでもかなりの時を要する。 聞けばランダも同じことを感じていたようで。 アダムに連絡をとって話してみれば、彼も薄々気がついてはいたようだ。 ……神の力が衰えてきている……? それは、世界を統べる神にとって、死刑宣告のようなものだ。 ようやく命たちは愚かな争いを収め、分かたれたコランダム神も日々に楽しみを見出していたというのに。 コランダム世界の膨大なデータ、プログラムを誰が管理するというのか。 『あのお方』とはコランダム以外にも沢山の神を生み出され、それらの神の筆頭でいらっしゃる。 世界一つが滅びそうだからといって、『あのお方』の手を煩わせる訳にはいかないのだ。 やがて辿り着く結論……やはり、三柱に分かたれたおいらたちは、神の力自体を三分割されてしまったのだろう、と。 いや、元来のコランダム神の神力には今のおいらたちが三柱寄ってたかったってかなわないようにさえ感じられる。 それつまり、おいらたちの神力自体が徐々に衰えてきている、と――― なぜ? どうして? 折角コランダム世界の発展と共に自らが楽しむということを覚えたのに。 『あのお方』だって、楽しんだらいい、と仰ってくださったのに。 だけどおいらたちは、神様の役割を、責任を果たしたい―――この世界を滅ぼしてしまう訳にはいかない。 そんな折だ、『あのお方』がおいらたちに次なる指令を出されたのは。 ―――コランダム世界にさ、もう一つ深界を造ったらどうかなって思うんだよねー。 ボクが飼い慣らしてる四大名家の領主たちそれぞれにさ、子どもが生まれてるだろ。 領主たちはボクの管轄下だけど、その子どもたちなら、コランもランダもアダムだって。 干渉しやすいんじゃないかなぁ? なんにしろ、領主の子どもならボクも目が届きやすいしね―――
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