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新たに深界を造り上げたという彼女は……アスカは、どう見ても十代半ばに見える。 つまり、命から新たに生まれたる神が実体化……この世界の神様が目覚めるのは、五歳だというアスカがこれっくらいまで成長した後、ということになるのだろう。
それまでの間、この世界はやはりおいらたちが見守っていかなくてはいけない。 時が捻れていようとなんだろうと、ここにはもう命が誕生して活動しているのだ。 かつて世界を潰したおいらたちに、ここの命の活動を見捨てる選択肢は存在しない。
『アスカちゃんは、ここで倒れてる彼を巻き込んだのかしらねぇ……』
ランダが傍らに伏しているナギを見て呟いた。 その口ぶりから、ナギの担当だったおいらが引き続きこの世界も担当してね、という彼女の意図を読み取った。
アダムは落ち着き払った声で、ナギの両親をアイストレンジに送った旨をおいらたちに告げてきた。 アダムいわく彼らは生粋の技術者だったそうで、機械やら技術やらが発達したかの世界のほうが彼らは幸せになれるだろうと判断したそうだ。
アイストレンジを長年見てきているアダムがそう判断したのならそうなんだろう、とおいらもランダも異論を唱えなかった。 今にして思えば―――これがロキとナギの兄弟関係をややっこしくしてしまった主原因な気もするけれど。
ただでさえおいらたちの神の力が衰えてきているというのに、コランダム世界だけでなく二つの深なる世界を治めなければならないという事態がこうして成った。
神の力としては確実に衰えてきている。 そのことは痛いくらいに実感しているのに……おいらたちは、日々の生活を明らかに楽しんでいた。
来たるべき目標、おいらたちの悲願のための第一歩……深界誕生の『その時』に向けて、今のこの姿でいられる間に限りある今を目一杯に楽しもうという思いが芽生えたからだ。
目下のところ、おいらの仕事はナギを中心にしたものだった。 話し相手になることで不安定なナギのメンタルを保つことに努め、コランダム世界に残された彼の忘れ形見が路頭に迷わないように目をかけてきた。
ロキのことを、トドロキという名のナギだと思っていたのだから仕方ない。 これに関してはアダムにしこたま文句を言いたいけれど、でもアダムがそうやっておいらごとナギを騙してくれていたからこそ上手くいった面もたしかにある。 心根は優しいナギのことだから、弟が孤独に放浪してるとなったら居ても立ってもいられなかっただろうから。
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