神である由縁

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ロキは一人でも心折れずに無事に育ち、五年前の十歳くらいの時点には施設を脱走。 ナギによる夢での干渉の末、一人旅を始める。 ……だけど、まだだ。 まだ、肝心のアスカが、深界創造に至るほどの年齢にまで育っていない。 『その時』はまだ先だ――― おいらたちが導かずとも、アスカの見た目年齢がサンリアの中核に示されたその姿まで近づくにつれて。 ロキとアスカはちゃんと巡り会った。 ランダは彼女自身のパパラチア・サファイに四大名家の子二人を侍らせていた。 『その時』の総仕上げとして、おいらも四大名家の残り二人やロキも含めて皆で食べ歩きツアーを敢行することを思いつく。 皆で楽しく美味しいものを食べて、いっぱい笑って、幸せをたっぷり味わって……それから『その時』を迎えよう、そう思った。 この時点にておいらのパパラチア・サファイが決まった。 シズは百年前から尽くしてくれてはいたけれど、今のように朗らかな雰囲気ではなかったし。 ロキとアスカは後回しにして、先にルナの夢にて語りかける。 神様のお告げにて集まった男女混合パーティはまさしくおいらが仕組んだものに他ならない。 怒られそうだけど、マサに至ってはルナに引っ付いてきたオマケだった。 今はそんな風には思ってないけれど。 彼がいなければ、このパーティは絶対に上手く纏まらなかったと想う。 ただ、そこに『あのお方』が加担していたことには気づかなかった。 おいらがそこに思い至ったのは、大分後になってから。 シズと一悶着あっておいらの神力が枯渇して、肉体はコランダム世界の病院にて確保されつつ意識体は裏層世界から深界アイストレンジのほうに赴くことになった。 コランダム世界に帰還するにあたって、その間はどういう流れになっていたのか探りを入れたその時だ。 確信を持ったのは、シニアークに行った帰り道にロキからマサの目がパパラチア・サファイの色をしていたのを見たことがある、とハッキリ聞いた時。 『あのお方』はちゃんと、監視の目を光らせていらした。 おいらたちのパパラチア・サファイ以外で、瞳が神様の意思に同調している際の色をしているという客観的事実は、そうとしか思えない。
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