神である由縁

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『嫌だ……!』 『いや……っ』 『断る』 おいらたちの言葉は違えど、声は揃った。 『我らがこの姿のままでも、コランダム世界は存続していくというなら。 我自ら申し出たこととはいえ、元のコランダム神に還りたい訳では、断じてない……っ』 アダムの声が震えている。 おいらの隣りのランダもはらはらと涙を零した。 『大切な……人、が出来ました。 ワタシがコランダム神に還るという未来を理解したうえで、彼はワタシの半神となる道を選んでくれました。 許されるのなら、ワタシはずっとワタシのままでいたい……!』 おお、やはり。 アラハは既にランダに永遠を捧げていた。 『あのお方』はランダに歩み寄って、いい顔で笑われた。 『へへー、知ってる。 見てたしね。 大切な存在はほっとけないよね! なんたって生涯の伴侶なんだから』 ……そうか。 『あのお方』、結婚に関してはかなり寛容なんだ。 四大名家の領主のおっちゃんたちがその問題で悩んでいた時だって、お力を貸してくださったんだっけ。 しっかり監視下に置かれてはいるようだけど。 『アダムだってね! なんだかんだでアイストレンジで……』 『い、今はその事についてはよろしいかと……!』 『あのお方』が仰る言葉にアダムは慌てて被せたが、『あのお方』は容赦なかった。 『大切な存在、いるもんね? ぅわー、喋りたいなぁー……相手、すんごいよね? 言っていい? ねぇ言っちゃっていーいー?』 『ごごご勘弁、願いたぃ……』 えぇえ、ぬいぐるみのオッサンのくせに、それなりなことはちゃんとしてたのか。 尻すぼみな声が彼の混乱っぷりを如実に語っている。 でもアダムだってそうやって、アイストレンジにて大切な絆を育てていたんだ。 なんだかふわりと楽しくなった。 『コランはどう?』 『あのお方』がおいらにそのダイヤモンドのように輝く瞳を向けられる。 角度によって色が違って見えるなんとも綺麗なその瞳は、今はとてつもなく優しく見えた。 今までにだって何度も射抜かれてきたその瞳を、そんな風に感じたことなんてなかったのに。 『おいら? おいら、は―――』
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