楽しみな時間

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流行にのって、仕事を出てすぐ耳にイヤホンを突っ込む。ある曲を聞きながら、ポケットに両手を突っ込んで、堂々と歩く。車に乗り込み家へと急ぐ。今日はようやくデータの更新が来るから、ハードボイルド気取って退社したものの、内心はうきうきだ。家に帰りついて、カメ太に餌をやり、早々に風呂やら飯やらを済ませ、趣味の為に集め作り上げたエリアへ入る。ゆったりしたゲーミングチェアに座り込み、ふーと息を吐いた。 「よし、やるぞ。」 ゲーミングPCを起動し、いつものゲームを開く。自分で作り上げたアバターは、いつ見ても美人だ。 「お、届いてる届いてる。」 アイテムボックスが点滅していて、今日の楽しみが届いていることを知らせている。開いてみれば、ようやく更新されて手に入った衣装があった。早速、アバターに着せてみる。 「……最高かよ!」 マイクロビキニを着せたアバターが、少し恥ずかしそうな動きをしている。恥ずかしがるというモーションも、今回の更新で入ったものだ。くるくると、アバターを回転させて確認すると、ふうと溜め息をついた。 「明日からもこの子のためにがんばるわ……。」 水槽の中で、亀のカメ太がごとりと音を立てた。
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