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それからマコトやケンさんの勧めもあって、僕は学校帰りに、こっそりこの妖しい店に顔を出すようになった。
受験のストレスを発散させるには、これ以上ない場所だった。
夕暮れ時の数時間、僕はマコトと女性になる。
初めのうちは抵抗があった僕も、日に日に行動が大胆になっていった。
マコトに影響され、こっそりお風呂場で脛毛まで脱毛してしまった。
本当は髭の永久脱毛もしたいんだけど、父や母にばれてしまいそうで実行に移すことはできなかった。
◇
翌日の放課後、マコトがふざけて腕を絡めてきた。
「ユウキ、今日も行くでしょ?」
たまにマコトは声が裏返る。
放課後になると、開放感からそうなるのかもしれない。
僕は少し気持ち悪く感じて、腕を強く振り払う。
「ユウキ、なんか怖ーい」
マコトは余計にくねくねとして、体をくっつけてきた。
彼は女装好きなだけで、恋愛対象は恐らく女性。
(僕は……)
特別に『好き』と思える相手には、男女共に出会ったことがなかった。
あの人と出会うまでは……
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