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◇
「今日は丹羽さん来ないの?」
「そうなのよ……例の彼とデートだって」
マコトとケンさんが、キャッキャッ言いながらじゃれあっている。
マコトは女性好きなのに、何故、自然にケンさんとイチャイチャできるのか……
僕がぼーっと見つめていると、
「もう、マコちゃん。ユウキ君が冷めた目で見てるから~。でもその蔑んだような目が、またいいのよね」
ケンさんが、ねっとりした視線を送ってきた。
僕はすっかり「高飛車な女」という設定を二人につけられていた。
(本当はマコトなんかより、よっぽど小心者だけど……)
カメラマンの丹羽さんが来ないことに、驚くぐらいがっかりしている自分がいた。
さっきケンさんが『例の彼』って言ってたっけ……
丹羽さんも男性が恋愛対象の人だったんだ。
その日は丹羽さんがいなかったので、女装をしても写真を撮ってもらうことができなかった。
「なんかユウキ、今日つまんなそうだね?」
マコトは僕の表情の変化に気づいていた。
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