ばあやとぼっちゃま

木曜日

「10年前、善一様が亡くなられた日は今でも忘れません。

当時10歳だったぼっちゃまはお心苦しかったでしょう

まして、まさか母親であったまどか様まで…」

いつもはぼっちゃまが粗相をやらない限り冷静なばあやが少し怒りの感情を出したが、そこでハッと我に返りすぐ様ぼっちゃまに頭を下げた。

「申し訳ございません！度を過ぎた発言をしてしまいました」

「良いんだ。もう母上とはもう何の関係も無いんだし」

あははとぼっちゃまは乾いた笑いで受け流した。びゅーと木枯らしが吹いたので、ぼっちゃまは自分が巻いていたマフラーをばあやにかける。

「そんな事よりばあや。寒くなってきたから落ち葉をいっぱい持って帰って焚き火をしよう」

両手いっぱい落ち葉を抱えたぼっちゃまは踵を返し屋敷へ戻って歩き出す。

「それでは火の準備をしなくてはいけませんね」とばあやも両手いっぱいに落ち葉を拾いぼっちゃまの後を追った。