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死の体積(作者:おばあ)
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死の体積 (作者:おばあ)
体重、52キロ、身長158センチぐらいの肉体の体積ではこの世界からいなくなってしまってもその空間にヒズミはできないのだろうか?
そのやわらかな体積は
私にとってとっても大きくて重くて
地球を覆い隠すくらいの存在だったのに
この世からいなくなって
風のように消えてしまったら
地球の空間には何の影響ももたないようだ
あなたのカケラにふれたくて
私はあなたが占めていたであろうぐらいの体積を思いだして、空気を抱きしめてみる。
スルリとそこには何もない。
数日前までこの空間を占めていたはずの
やわらかい、ずしっとしたぬくもりがそこにはない。
あなたは風になったのかな?
太陽の光になったのかな?
キレイな夜空の星になったのかな?
そうやって今も愛した人たちを
温かく見守っているのかな?
そうやって散り散りになりながら
あなたがいた空間を埋めているから
空間は歪んでいないのかな?
今日も世界は均衡をとって
何事もなく空気は流れている。
やっぱりどこも歪んでいない。
一ミリでもいい。
あなたの体積が失われてこの世界にもヒズミが生じている証拠を掴みたくて今日も私は息を凝らして空気を睨む。
もしかしたら宇宙の片隅で歪みが生じて
一生懸命均衡をとろうともがいているかもしれない。
何もなかったなんて言わせない。
私の心はヒズミだらけ。
あたなを感じても思いだしても
ヒズミは埋まらない。
何もなかったなんて言わせない。
私の心はヒズミだらや!!!!!!
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・・・・・何で最後だけ、関西弁なの???
私はふと思い出す。
無邪気な私の母の死への質問を聞きながら、化粧水を顔に浸透させながら覆っていた手の下の顔は、いつもどんな表情をしていたのだろう。
「あの瞬間では死ねへんかった。あのまま死んで、手の下に隠した顔をあんたにみせられへん。」
今にもこぼれそうなおばあの声がした。
私は空をみる。
薄く赤く染まった一筋の雲が今にも夜の始まりに吸い込まれていきそうだ。
まだ、おばあはいるのかな?雲のはざまに。
生きていても、死んでいても私の心のヒズミを修復するために。
たくさんの人の心を癒すために。
そして私もいつかきっと・・・・。
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