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そして、珊瑚たち女子組が着替えさせてわかったことは、彼女が推定三十歳前後の日本人ということぐらいだったが、
「あら? 学校名と名前が書いてあるわ──」
檸檬がジャージの裏側に身元を特定できそうな有力情報を見つけた。
「──青の森中学校三年二組、陸奥潤子」
「あおのもり? この近所じゃ聞いたことないな」
作務衣のポケットからスマホを取り出した檸檬が素早く検索すると、一件だけヒットする。
「青森ですって。この子の故郷かしら?」
ちなみにここは千葉県。房総半島の南端だ。
「SNSもやっていなさそうよ。FBとインスタ、ツイッターにそれぞれ同姓同名が数人いるけど、どれもこの子じゃないっぽいわ」
「まぁ実名でアカ取ってる人ばかりじゃないしね」
そういう五人の名前も本名ではなく法名だ。
「もしもーし? 潤子さーん? 陸奥潤子さん、大丈夫ですか?」
まだ熱が高いため頓服を飲ませる必要があり、珊瑚は潤子の肩をトントンと叩きながら声をかけた。意識が戻らないようだったらやはり病院へ運ばなくてはならない。
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