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勘違い
翌日の夕方、青柳商店さんはいつも通りの最後の集荷先となりました。
「毎度有難うございます・・オレンジです」
「あっオレンジさん・・ご苦労さんです・・」
青柳社長は何事も無かったように、いつも通り数十個の荷物をカウンターの上に並べてくれた。俺はスキャナーで照会作業を終えると、受領押印した伝票を手渡した。勿論自信をもって押印した。
「社長さん、昨日は店長にまで連絡いただき有難うございました」
「あぁ、あんまり神妙な顔してたし、真っ青な顔色しとったから・・つい心配になってしもたんや・・それで店長に電話したんやが・・店長さん他になんか言うてなかった?」
「いいえ、それ以外は別になにも・・」
「そうかぁ?・・」
今度は青柳さんが何だか吹っ切れない顔をしている。俺はつい余計なことを尋ねてしまった。
「どうかされました・・ご不審な点が有りましたらどうかお気軽に言ってください」
「あの~ちょっと訊きにくいけど・・エエやろか・・?」
「どうぞ・・なんなりと」
「アキさんは結婚してはるの?」
「いいえ、今年26に成りますが、まだ独身なんです・・それがなにか?」
「いいやぁあのな、ウチに22になる娘が居るんやけどな、以前にアキさんの姿を見たときから、いっぺんにファンになってしもたみたいで・・」
「ファンに? 私のファンってことですか? それは有り難い、光栄です、私も何度かお会いしましたよね・・頭下げたら、きちっとご挨拶頂いて・・いい娘さんですよね⁉」
「最初は友達としてでもエエから付き合ったってくれへんやろか?」
「友達?・・ですか? 別にいいですが? でも付き合うって・・ちょっと違うみたいでは?」
「私としたら本当は結婚してアキさんを養子にでも迎えたいとは思てるんやけどな・・」
「えっ、青柳さんのお嬢さんの話でしょう? それは無理・・無理・無理!です」
「そやろな、それだけのイケメンやったら、ぎょうさん彼女もおるやろしな?」
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