28人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「龍太くん、終わったの?」
「ああ」
「ホントに?」
「俺は、その・・・優里奈と」
龍太は口ごもった。夕陽が顔を照らしていなかったら、顔が赤くなっているのがわかってしまっただろう。
「ふーん」優里奈はそっけなくなく言うと、遠い水平線へを視線を向けた。「あたしはね、泣かないようにって、お願いしたんだ」
今度は謎めいた笑みを浮かべた。
「ふぇ?」
どういう意味だい? 気になるから教えてくれと笑いながら問うと、優里奈はからかうように、ふぇ、ふぇ、ふぇ、と龍太の真似をしてくりかえした。
太陽は半分ほど沈み、水面は暗くなっており、その深奥を覗くことはもうできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!