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第2話 春休みの帰省
「タオ、春休みは帰ってくるでしょ?」
お母さんと電話で話すのは1週間に1回くらい。
正月はコンクールの追い込みで家に帰っていないから、夏休み以来になる。
「うん、春休み、帰りたい」
「分かった。新幹線の予約取っておくから」
「春休みが始まったらすぐがいい」
「そう、予約とったらLINEするね」
自宅に帰ったらはるか先生に会いたい。連絡しても嫌がられないかな。会ってくれるかな。
6月のコンクールの予選曲も、課題が出てすぐに練習して恥ずかしくない程度には演奏できるようになっている。
先生に聴かせて、ガッカリされたら困るから。
夏休みに会った時は、正直、聴かせられる曲がなくてガッカリされたことを思い出した。
「先生ね、タオくんの演奏が大好きだから、新曲聴きたかったな~」
明らかなガッカリ顔に、次は絶対に先生が喜ぶような演奏をするんだ!と気合いを入れ過ぎたら、秋の予選でトップ通過、正月明けの全国大会で上位入賞を果たした。
でもそのせいで、正月は実家に帰る時間的余裕がなくて、はるか先生にも会えず仕舞い…
「も~うじうじしててもしょうがない!連絡連絡!!」
『はるか先生。お久しぶりです。春休みに帰ります。先生に聴いてほしい曲があるのですが、ご都合はいかがですか?』
一気に書き上げてLINEした。
すぐに既読になるかな?
しばらく待っていたけど、既読になる気配がないまま、スマホを15分眺め続けた。
「あ!」
既読になった。
そしてすぐに先生からのLINE。
『やったー!タオくんの演奏楽しみ!レッスンが終わったら日程送るね』
一瞬で心が華やいだ。
バリバリ弾いて、先生を喜ばせるぞ~~~!一気にテンションが上がった。
「よし!練習しよ!」
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