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昔むかし、とある村にジャックという青年がおりました。
ジャックはいたずらが大好きで、嘘つきで、博打好きでした。
人を困らせるのが大好きで、いつでも楽をして遊んで暮らす事ばかり考えていました。
そしてある時、思いついたのです。
「そうだ! 悪魔に契約を持ちかけて、遊んで暮らせるだけの金を出してもらえばいいんだよ」
そう考えたジャックは、新月の夜に墓場へ行って悪魔を呼び出しました。
【誰だ、余を地獄の眠りから呼び覚ますのは?】
ジャックの描いた魔法陣の中に、地獄から呼び出された悪魔が現れました。
辺り一面に硫黄の臭いが漂って、息をするのも大変です。
地の底から響いてくるような声で、悪魔はジャックを見て言いました。
【お前か、余を呼び出したのは。何の用だ?】
「ああ、アンタを呼び出したのはオイラだよ。アンタと契約をしようと思ってさ」
【余と契約だと? チビた人間の分際で、余と契約をしようというのか?】
「そうさ、オイラはアンタと契約をしたいんだ」
【いいだろう、余を目にしても動じぬその根性が気に入った。望みを申してみよ】
「オイラは、一生遊んで暮らせるだけの金が欲しいんだ。額に汗して、アクセク働くのはうんざりだ。楽して暮らせる方法があれば、やりたくもない仕事をしなくても済むだろう?」
【それがお前の望みか! はははは! 何と小さな望みだ。その気になれば、世界の王にだってしてやれるのだぞ!】
「えー、いいよ。王様になったら、仕事しなくちゃいけないじゃないか。それに、オイラみたいに働かない連中の面倒も見なくちゃいけない。そんなのイヤだよ」
【ある意味、悪魔好みの人間であるとも言えるな。よかろう。お前の望みを叶えてやろう】
悪魔が腕を一振りすると、ジャックの足元に一つの財布が現れました。
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