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「そろそろ、悪魔と約束の3年がくるな。確か今回は、黄色い帽子に茶色の上着に白いブーツだったな」
ジャックは今回も、悪魔との約束を守るつもりはありませんでした。
約束の3年目、山の吊橋の上に現れたのはヤギです。
脚は白く、茶色の毛に覆われ、黄色い角を生やしたヤギです。
太陽が昇った瞬間に地獄からやってきた悪魔は手にした魂を目にして、悔しがって叫びました。
【またしても、余をたばかったな、ジャックよ! 次はないぞ! 今度の3年目には必ずお前の魂を、そのみすぼらしい体から抜き出して地獄へ連れ帰ってくれる!!】
どれだけ悪魔が悔しがっても、契約の内容は『本人か、その身代わりの魂』を報酬として受け取る事です。
仕方なく、今度も悪魔はジャックではなくヤギの魂を持って地獄に帰っていきました。
これでジャックの命は3年延びたことになります。
けれどジャックは、そんな生活にいい加減飽きてきてしまいました。
使っても使っても、使い切れない金貨。
贅沢のし放題。
美味しい食事に、最高級の酒。
女に博打に買物。
金を湯水のようにばらまいて、他人がうらやむ暮らしをしていても、楽しくなくなってしまったのです。
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