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雲の上にある天国の門はとても大きくて、全部が黄金で出来ていました。
「すげーな、これ売っぱらったら、どのくらいの金額になるんだろう?」
そんな事を考えながら、天国の門を叩きました。
「すみませーん、どなたかいらっしゃいますかー?」
ジャックが声をかけると、門が少しだけ開いて天国の門番である聖ペテロが顔を出しました。
《そなたは何者じゃ? 何ゆえ、天国の門を叩く?》
聖ペテロはジャックの顔を見ながら質問しました。
今日は天国にやってくる魂の予定はなかったからです。
「オイラの名前はジャック。悪魔と契約をして、さっきまで地獄にいたんだ。だけど、もう地獄には置いておけないから、天国にでも行っちまえってさ」
ジャックの告白を聞いて、聖ペテロの眉間に厳しいシワが寄りました。
「オイラ、天国に入れるかね?」
聖ペテロは天国の門を閉めて鍵をかけ、内側から怒鳴りました。
静寂がルールの天国において、それは特例中の特例でした。
《悪魔と契約するような邪悪な魂を、この門より先に入れる訳には行かぬ。去れ!》
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