ふたりの始まり。

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「だから、ウソをつくのをやめろっていってるだろ!!」  蓮は蘭子の肩をがっしりと掴むと、自分の体の反動をも使って力の限り揺さぶった。  蘭子は驚いて足を縺れさせて、蓮が揺さぶるままに体を後ろに倒してしまう。そして、揺らしていた蓮も一緒に倒れてしまう。先生の「危ない!!」と言う声がどこからか遠く聞こえた。  蓮は反射で目を瞑り、蘭子の体をギュッと抱きしめる。すると同時に、耳元に蘭子が口を近づけて囁いてきた。 「もし、泥団子をうばったとしても、もうわたしのものでしょう?」  その言葉に蓮は閉じていた目を開ける。すると体にドンっと言う衝撃が加わって思わず「うっ」と唸る。  だが、蓮は下に蘭子がいることもあり、体は痛くならなかった。  頭がぼんやりしたまま体を上げると、下にいる蘭子の表情が見えた。蘭子は流石に痛かったようで、眉間にシワを寄せて口から意味のない言葉を吐いて痛がっていた。  しかし、上から蓮が退いて重さがなくなったこと気がついて顔を上げて蓮を確認すると、彼女は笑った。
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