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ふたりの始まり。
幼稚園の自由時間、それは園児が自由にする時間だ。
「ねーね、それちょうだい?」
「やだよ、僕が作った泥団子なんだ。僕のものだよ」
蘭子が子供らしい小さな両手を差し出してお願いをするが、蓮は顔をしかめてそのお願いを拒否した。お願いを拒否された蘭子は頬を膨らませて「ちょうだい、ちょうだい!」と癇癪を起こすが、蓮は無視をしてその場から泥団子を持って立ち去ってしまう。
蘭子は急いで蓮の後を追って、叫ぶように声を出す。
「ちがう! わたしのなの」
「これは僕のだ! 勝手なこと言うな」
蘭子はなんとか蓮に追いついて、蓮の背中の服を引っ張って無理やり歩みを止める。そのことに蓮は怒り、泥団子を持っていない方の手で蘭子を振り払った。
蘭子は蓮の怒った顔を見て、表情をなくした。そう思いきや直ぐに笑顔を浮かべて蓮に違うお願いをした。
「じゃあ、泥団子の作り方を教えて!」
「それならいいけど・・・」
「やったー!」
蓮は今は使っていない下駄箱の上に泥団子を置いた後、蘭子と一緒に泥団子を作り始めた。
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