ふたりの始まり。

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 お迎えが来る時間になり、今日は蓮の母が早くお迎えにきたので二人は泥団子作りを中止して明日の約束をした。作った泥団子は二人で並べてあの下駄箱に置いて、乾かした。 「レンくん、バイバイ!」 「うん、またあした泥団子の作りかたをおしえてやるよ」 「うん、やくそくね」  帰る蓮の後ろ姿が完全に見えなくなると、蘭子は教室内に戻って帰る準備を始めた。  準備も終わり、体を揺らして母を待っていると蘭子の母もやっとやってきた。彼女は自転車を走らせてきたせいか、呼吸がまだ整っていないようだった。  だが、子供はそんなことは気にしない。蘭子は母の足に突進して、足にギュッと抱きついた。 「おかあさん、おそい!」 「ごめんごめん。今日は何して遊んでたの?」 「きょうはレンくんといっしょに泥団子作った! たのしかったの」  頭を撫でられて蘭子は嬉しそうな顔をした後、今日の楽しい出来事を話してさっきまでの怒りを忘れたようだ。そんな子供を見て、母は眩しそうに微笑むのだった。
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