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電車を降りた出たところで僕は右手を差し出すと、美咲ちゃんは何も言わず僕の手をギュッと握ってきた。駅から歩くこと7分。僕はドアを開けて右手を差し出し、中へと促す。
「よかったら座ってよ。ほら、クッションもあるしさ」
「ありがとう」
美咲ちゃんはクッションに腰を下ろすと、8畳一間の僕の部屋をぐるりと眺め始めた。
「へえ、綺麗にしてるのね」
美咲ちゃんが不意にそう発する。その視線はカーテンがひかれた取り付け棚へと向いていた。
「まあその……いつかはご招待しないと、とはお、思ってたからさ。あ、そうだ。コーヒー飲もうよ」
僕は音楽をかけた後、キッチンへと向かって戸棚からマグカップを2つ出す。温かいドリップコーヒーをトレイに乗せて、美咲ちゃんのもとへと運ぶ。両腕が今にも震えそうで、それを抑えるのに必死だ。
「ありがとう」
美咲ちゃんは両手でカップを持ち、口をつける。
「おいしい」
綻んだ顔を見せる美咲ちゃんに、
「となり、行ってもいい?」
僕はそう尋ねる。美咲ちゃんは無言でコクリとうなずいた。最近ヒットしているあいにゃんの優しい歌声が部屋に響く中、美咲ちゃんの隣に座る。ひと口、ふた口とコーヒーをすすったところで、僕は美咲ちゃんの肩に手を回した。美咲ちゃんの顔が僕の方を向き、目を閉じた。僕は少しずつ顔を近づけていき、唇を重ねた。
「んっ!」
美咲ちゃんの口から漏れる声が耳に入り、僕の手も汗ばんできた。
「手、い、入れてもいい?」
胸の高鳴りを必死に抑えながら僕はそう耳元で訊くと、美咲ちゃんはコクリと頷いた。美咲ちゃんの息遣いが心なしかいつもより熱い。僕は意を決してブラウスを少しだけめくり、お腹のところから腕を忍ばせた。
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