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……どうしましょう。シアと離れてしまいました。見た感じ、ここはネブラの中ではありそうですが。とりあえず、これは試練だとジョヴァンナ様がおっしゃってましたから動いてみましょうか。
にしても、何だか妙ですね。精霊さんがいません。いつもは一人だけでもいるのですが。どうしたのでしょうか。
可能性があるのは、いつも私の周りにいる精霊さんよりも高位の精霊さんに命じられて私の周りにいないのか、ここがその高位の精霊さんのテリトリーなのか。色々と気になることはありますが、強い魔力が感じられる方に向かうのが良いでしょう。
強い魔力を感じる方に歩いているというのに、一向に景色は変わらず、近づいた気配もありません。
一人だと、心細いですね。私の周りに全く人も精霊もいないだなんて初めてのことです。前に一度、誘拐された時もシアがいたから頑張れました。でも、今は一人です。周りに精霊さん達ですらいません。このまま、挫けそうになってしまいます。
ですが、私をここに連れてきたのはジョヴァンナ様で何かしらの意図があってのことなのでしょう。それに、お母様にはいつも「ルクナティア公爵家の令嬢」であることと、「アルメラ王国の王族」であるという自覚を持ちなさいと言われていますし、常日頃から心がけています。だから、挫けるわけにはいきません。
それから、どれくらいの時間が経ったのでしょうか。普段からお転婆で剣まで習っていて普通の令嬢よりも体力がある私でも疲れてきました。
とりあえず、自分に聖属性魔法の疲労回復をかけて再び進みだすと急にさっきまで感じていたよりも強い魔力を感じ気付くと開けた場所にいました。そこには小さな竜巻のようなものの上に綺麗で細いのに出るところは出ているというとてもスタイルの良い女性の形をした精霊さんがいらっしゃいました。恐らく、いえ、確実に風属性の上位精霊さんですよね。
「ふーん。あなたがあいつのーーーなのね。」
ぼんやりとしていなかったはずなのですが、急に精霊さんが目の前に現れて驚いてしまいました。これは、風で加速させたのでしょうか。それにしては、風圧を感じないのですが…
ですがそれよりも気になるのは、途中でわからない単語が出てきたことです。この世界で使われている様々な言語や使われていた古代語と呼ばれるもののどれでもないように思えます。
「あの。あいつ、とは?」
「あら?分からないの?」
「はい。あいつ、とおっしゃられた後の単語に至っては聞き取ることもできませんでした。」
「そう、ならいいわ。
わたくしは、風の最上位精霊よ。あなたはわたくしと契約ができるかしら?」
もしかして……ジョヴァンナ様のいう試験ってこれじゃないですよね?!誰か、否定してくださいっ!
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