prologue

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*⑅︎୨୧┈︎┈︎フィリップ視点┈︎┈︎୨୧⑅︎* 余の姪、ルルシーナは特別である。 元々、彼女の魂は余の娘リーリエのものであった。しかし、彼女は特別である。〇〇の後継者で瞳が緑だから。そして、闇属性を持っているから。 彼女がそのまま余の娘として生まれたら後継者争いが起きてしまう。我が国は長子制であるからリーリエの双子の姉がこの国の次期女王と決まっていたのだ。 余はそう告げられたのだ、〇〇から。このまま、余の最愛の妻であるティアのおなかの中にいる子供たちがそのまま生まれてくれば、国が混乱に陥ると。〇〇の役割はよく知らん。だが、偉大なるお方だとは分かった。 だから、余は様々な手段―最終的には禁術を使ってでも余の双子の弟の娘、姪とした。元の魂を交換したのだ。そして、彼女が緑の瞳のまま生まれてこないようにしたのだ。彼女が十分にこの事を理解できるようになったら、このことを話すつもりだ。それまでは余の一人だけの秘密。いや、〇〇や神、我が国の守護竜様には、ばれているだろうがその方々以外にこの事を知る者はおらぬし絶対に知らせてはならぬ。だが余の娘、アレナは知っておいたほうが良いのだろうな…… 余は禁術に手を出した反動で短命になった。だが後悔はしておらん。その分、アレクシアをはじめとした様々な人々に迷惑をかけてしまうが、もしもの時も大丈夫なようにはしてあるのだ。忠臣の一部には短命になった事を伝えておるし父上にも、もしもの時は暫く国王の仕事をしてもらうように頼んだからな。余の忠臣には医者もおるし魔法に精通した者もおる。その者達に頼み、できるだけ延命はしてもらうつもりだ。それでも、もってもアレナの成人まではいかぬだろう。アレナの成人と共にあるデビュタント、そして即位式はこの目で見届けたかったのだがなぁ。それほどに禁術の反動は酷いものだ。何もしなかったら、あと百年は生きれただろうからな。 だが、そこまで後悔はしていないし、ここまでするほどに余はこの国も家族も好きで大切に思っておる。 だって余は賢王と名高く家族を溺愛していると有名なアルメラ王国二十四代目国王フィリップ・メラ・アルナティアなのだから。
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