みめ麗しい子

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みめ麗しい子

「どうです? 綺麗な子でしょう。美人の紗良さんにどことなく似てると思いませんか?」 高木Drに抱っこされていた赤ちゃんは、パッチリとした目を見開いて、言葉にならない喃語(なんご)を発していた。 まだ生後三ヶ月とのことだが、色白で目鼻立ちのスッキリとした、愛らしい赤ちゃんだった。 この子は間違いなく美人になるはず。 「抱っこさせてもらってもいいですか?」 「もちろん。はい、どうぞ」 高木Drが抱っこしていた赤ちゃんを、そっとわたしの腕に乗せてくれた。 甘いミルクの香り。 なんて可愛らしいのだろう。 日曜の今日は休診日なので、高木レディースクリニックの待合室は静まり返っている。 白を基調とした内装に、ベビーピンクのソファ。最新の設備を備えた、モダンな独立型不妊クリニック。 このクリニックの院長である高木道隆(たかぎみちたか)は、若いながらも不妊治療に於いて、名医と言われている。
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