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Dr 高木の秘密
「ねぇ、私がお腹を痛めて産んだ子は元気なの?」
五年ぶりによりを戻した唯香が、ベッドに突っ伏したまま僕に顔を向けた。
「瑠奈のことか? 君に似て現金なものだよ。毎月小遣いをせびりに来る」
母親の紗良のほうは、もう二年も顔を見せていない。あんな娘に育ててしまって顔向けが出来ないのだろう。
「どうして私に似てるのよ。私の子でもないのに。大体、なんでいつまでもお小遣いなんて渡してるの? もしかして援交してる?」
「バカ、そんなんじゃないよ。里親になってもらった手前、僕にも責任はあるだろう」
「だって、彼女の子なんでしょう? どうしてそこまでしてあげなきゃいけないの? 私に代理母までさせてさ」
気怠げに虚ろな目を向けて、呆れたように唯香は言った。
「君は紗良さんがどんなに辛い不妊治療をして来たか見てないからな」
「だからって、そこまでしてやらないでしょ、普通」
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