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出生の秘密
ふさぎ込んでいたので、ずっと外出していなかった。ペタンコのお腹は家族以外の知人に見られていない。
両親と義父母を騙すことはできないけれど、他の人にはわたしが産んだということにしておきたかった。
この子の誕生日は、三ヶ月前の三月二十三日。
名前は西野瑠奈。
見目麗しい女の子だけあってか、夫もかなり気に入ったようで、実子のように可愛がってくれる。
瑞季とは、あの日に訪問して以来、連絡を取っていないから、一年近く会ってなかった。
梨々香ちゃんも一歳を過ぎて、大きくなっただろうな。
未だに泣きわめいて手のかかる子なのだろうか。
ミルクをたっぷりと飲んだ瑠奈は、ベビーベッドの上でガラガラを振りながら、ケタケタ笑っている。
「瑠奈ちゃん、あなたは今日もいい子ちゃんねぇ」
時計を見ると、午前十時になろうとしていた。
もうすぐ、瑞季が梨々香ちゃんを連れてやって来る。
瑠奈を見て、なんと思うだろう。
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