4. Sweet Thursday

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「じゃあなんでムキになるのよ!」 (あれ? 相手、黄金(こがね)姉様なの?)  水羽の言葉から、相手はてっきり炎珠だと予想していた木乃実だったが、聞こえて来たのは黄金の声だった。 「アンタがしつこいからでしょ! いつからプライベートを逐一報告しなきゃいけない決まりになったわけ!?」 「そうじゃない、でも!」 (この二人の言い合いなら、いつものことだけど……でも、これって……)  珍しく激しい語気の水羽はもちろん、黄金の真剣な物言いからも、普段のどこか掛け合いめいたものではないことは明らかだった。 (もしかして……もしかしなくても、これってケンカだよね!? ど、どうしよ……)  階段の陰でオロオロする木乃実を他所に、二人の穏やかではない会話は続いた。 「そうじゃないなら何よ!?」 「ショックだったのよ! 親友だと思ってるのは私だけなの? デートする相手ができたんなら、私にだけは打ち明けてくれたっていいじゃ……」 「だから違うって何回も言ってる! もういいでしょ? 私シャワー浴びたい」 「……わかった、ごめん。でもっ、もしそういう人ができたら、相談してほしいの」 「……何それ? マウント取ってんの?」 「え? 水羽、何言って……」 「もうイヤ! ほっといてよ!」  水羽が叫んだと同時に、玄関からこちらに向かってくる足音。木乃実は気まずさのあまり、慌てて階段を引き返したのだった──。
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